『オルゴォル』 朱川湊人
東京に住む小学4年生のハヤトくんは、同じ団地に住むトンダじいさんから、古いオルゴールを鹿児島の知人に届けて欲しいと頼まれた。別に急いでないから、大人になってからでもいいから届けてくれ。もし、相手が見つからなかったら鹿児島の土に埋めてくれと言われていた。
どうやって届けたらいいのか考えつく前にトンダじいさんが亡くなってしまって、このままバックレてしまってもいいかなと思ったりもしたけど、やっぱり届けなきゃいけないと思ったハヤトくん。大阪にいるお父さんに相談してみようと思いついたのです。
そこからハヤトくんの旅が始まるのですが、彼にとって初めてのことに沢山出会います。いろんな人に出会い、いろんな物を見て、自分は何にも知らなかったんだなぁということに少しずつ気づいていきます。
お父さんが住んでいる所のすぐ近くで起きた福知山線の事故現場を見たり、広島の原爆ドームへ行ったりして、生きることと死ぬことについて初めて考えさせれます。大阪で出会ったサエさんとの会話の中から、これまでの自分についても考え直すことがたくさんありました。
人間って、どうして自分の一番大切な人を大事にできないのかな?どうして自分の思いばっかりが優先されてしまうのかな?自分が知らなかったことに対して、それを変だって思うのではなく、そういうのもあるんだって思うことの大事さを学んでいくハヤトくん。彼はホンの1週間で、ものすごく成長しました。わたしも見習いたいなぁって思いましたよ。
1368冊目(今年23冊目)☆☆☆☆☆
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