『夢の回想録-高田賢三自伝』 高田 賢三
文化服装学院の大先輩である髙田賢三さんの自伝です。一旦大学に入ったものの、やっぱりファッションの道に進みたくて東京行きを決意したというKENZOさん。女子がほとんどの学校に入って、最初に出会った男友達がニコルの松田光弘さんだったというのは運命ですね。その後も松田さんは大事なタイミングで必ずKENZOさんを助けてくれています。
デザイン科に進み、コシノジュンコさん、ピンクハウスの金子功さんの4人でコンテスト荒らしをしていたというのは有名な話ですが、KENZOさんは一番オクテだったという意識を持っていたみたいです。とはいえ、いったんファッションメーカーへ就職した後、パリへ行こうと思ったあたりから、物凄い行動力を見せます。
短期留学という名目ですけれど、パリファッションを取材するという仕事も取ってきているし、デザイン画を持ってクチュールへ直接売り込むあたり、只者ではありません。その後の成功は知っていましたが、デザイナーを辞めた理由はこの本で初めて知りました。
デザイナーとしては有能だけれど、会社経営に関しては全くダメというか、金銭感覚がない人だということをご自分でも認めてらっしゃいます。そして、長年のパートナーだった方が亡くなったことが大きなショックだったのですね。自分の会社を追われるようにして辞めた当時はさぞかし辛かったでしょうね。
良いことも悪いことも、こんなに正直に話してしまうKENZOさんという人は、良くも悪くも天才なのでしょうね。これからの活躍を期待しています。
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