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『ひとりでは生きられない』 養老静江

ひとりでは生きられない

紫のつゆくさ
ある女医の95年

養老 静江

 この本の著者は、養老孟司先生のお母さまで、亡くなるまで女医として多くの患者さんを助けてきた方です。

 

 女性の医師として小児科を中心に活躍されたことはもちろんですが、一人の人間として凄い方なのです。

 

 最初の結婚は25歳の時、当時としてはかなり遅めの結婚年齢でした。相手の方に見染められて結婚し、2人のお子さんにも恵まれ、しかし気が付いてみれば、空虚な心で日々を過ごされていたのです。

 

 当時の普通の女性でしたら、そんな環境でも我慢して過ごしていったのでしょうが、静江さんは離婚を決意します。2人の子供を連れて実家へ戻ったのです。

 

 別れたご主人は子供の養育費だけは払おうと申し出たそうですが、静江さんのお父さんが、こちらで面倒は見られますから援助は結構ですとおっしゃたあたり、この親子はきっぱりした生き方をしてらっしゃったんだなと想像できます。

 

 そこで医院を開業して医師として働き、ご両親と子供2人、5人での生活を始めました。

 

 そして2度目の結婚をされたのが、10歳年下の養老さんでした。しかし、孟司さんが4歳の時に彼は結核で亡くなってしまったのです。

 

 

 

 

 戦争があって、ご主人を亡くされて、妹さんを外地で亡くされ、それでも医師としてしっかり働き続けた静江さんは95歳まで生きてこられてのです。

 

 彼女が何より素晴らしいのは「自分に正直」であることです。医師としての考え方も、家族との関係も、常に自分で考えて自分で決めているのです。世間体とか常識とかに流されがちな現代の若者にも、ぜひ彼女の生き方を知って欲しいと思うのです。

 

1389冊目(今年44冊目)☆☆☆☆☆

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