『幸福の「資本」論』 橘玲
橘さんが提唱されている人生の資本とは「金融資産(資本)」「人的資本」「社会資本」の3つです。ここから生まれる「人生の8パターン」によって、すべてのひとびとの「幸福」のカタチが説明できるとしています。
3つの資本をすべてそろえることは難しいが、せめて2つをそろえれば「幸福」といえる状態になるのではないかとおっしゃっています。
人的資本として、最終的に重要になってくるのは家族でもなく、仕事関係者でもなく「友達」です。心を許せる、何でも話せる友達の存在こそが幸せの原点です。でも、会社という社会に没頭するあまり、友達という存在に気付かずに定年を迎える人がかなりいるのです。
家族がいるから大丈夫なんて甘い夢を見ていると、その後はとんでもないことに・・・
この本の中では、様々なことを分かりやすく説明してくれているのですが、友達の定義に妙に納得してしまったのです。それはこんなことです。
友情の核は平等体験
学生時代の同級生なら、現在がどうであろうと立場は平等です。子供が同級生だということで結び付いているママ友も、趣味の友達も平等です。逆に言えば、この平等感を理解できない人、常に自分が優位でなければ嫌な人には友達はいないということになります。
そして、幸せになれない人の多くが体験する「うつ」についての説明がすごいのです。こういうことをハッキリと言ったのって橘さんが初めてじゃないかしら。
仕事に対して自分の能力が見合っていなかったのです。しかし本人は、この「不都合な事実」を認めることを(無意識に)拒絶しています。(中略)これがメンタル不調を訴えるサラリーマンの一番多い悩みだといいます。
自分が、その仕事をできないということを認めたくない。「自分はできないので、誰かに変わってもらえませんか」と言えない。だからメンタル不調を起こす。これがうつ発生の真相だというのです。
真面目さ故なのか、失敗を恐れるが故なのか、自らギブアップできない体質が不幸を招いているということなのです。
この本を読んでいると、実にイタイ話が多いのですが、それを無視してきたからこそイタイ自分が存在してしまっているのです。自分の棚卸をしてみるのに、とても役に立つ本だと思います。
1393冊目(今年48冊目)☆☆☆☆☆
« 『金曜日の本屋さん 夏とサイダー』 名取佐和子 | トップページ | 『君たちはどう生きるか』 吉野源三郎 »
「日本の作家 た行」カテゴリの記事
- 『バカと無知』 橘玲 80(2023.03.22)
- 『焼けあとのちかい』 半藤一利 塚本やすし 68(2023.03.10)
- 『すごいゴミのはなし ゴミ清掃員、10年間やってみた。』 滝沢秀一 69(2023.03.11)
- 『服を10年買わないって決めてみました』 どいかや 64(2023.03.06)
コメント