『されど愛しきお妻様』 鈴木大介
脳梗塞で高次機能障害になってしまった大介さんは、自分が思ったことができないだけでなく、これまで感じたことのない激しい感情の揺れに悩まされます。そんな彼を一番理解し、助けてくれたのがお妻様なのです。
彼女は発達障害のために、脳が普通の人とは全く違う動きをするのです。それを大介さんはずっと理解できずにいました。ところが、自分が高次機能障害になって初めて、彼女のこれまでの行動が理解できるようになったのです。そして、これまで対処不能と思えていたことが、実は自分の勝手な思い込みで、手法を変えれば彼女にやってもらえることがたくさんあるということに気付いたのです。
なぜ集中力が持続できないのか?なぜ2つ以上のことを一度に頼まれても、最初の1つしかできないのか?なぜお金を払う時にパニックになるのか?これまで考えてもみなかった状況に自分がなってしまったことで、そういう症状について文字通り「身を持って」分かるようになったのです。
何が起こっても、「わたしもそうだったよ」と優しく受け止めてくれるお妻様。彼女にこれまで辛く当たってきて申し訳なかったと反省をしながら、2人での生活をいかにして楽しくしていくかを考える大介さんの行動は、世の中のあらゆる人に応用できることばかりです。
先天性の学習障害も、後天的な高次機能障害も、老化による機能低下も、実は似たようなものだと考えることができるって、ものすごい発見だと思います。家族や友達の行動が理解できないとき、それは脳の機能の問題なのかな?と考えることができたら、無駄な怒りは減っていくことでしょう。
ひとりでも多くの人に読んでもらいたい本です。
1416冊目(今年74冊目)☆☆☆☆☆
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