『降霊会の夜』 浅田次郎
消息不明だったり、亡くなってしまったり、二度と逢えない人が大勢います。
もし話ができても、本当は知らない方が良かったこともあるかもしれません。知って良かったと思うこともあるかもしれません。でも、ほとんどの場合は逢えずじまいなのです。
小学生の時に死んでしまった友達のことを、主人公はずっと忘れずにいました。あの日、友達が交通事故に遭った現場にいたことも、忘れられないけれど、一緒にいた彼の父親のことも忘れずにいました。
それから何十年も経ったある日、あなたが逢いたいと思っている人に会わせてあげましょうと言われて、知らない女性の家を訪れました。そして、あの友達の話を聞くことができたのです。
そんなこと、わたしには起きないだろうけど、もしそんな機会があったら、話をしてみたい人が何人かいます。あの時、実はどうだったの?と聞いてみたいことがあります。話を聞いたからといって過去が変わるわけじゃないけれど、何故か心のどこかに引っかかっているものって、あるんですよね。
久し振りの浅田次郎作品、やっぱり引き込まれてしまいました。
1428冊目(今年86冊目)☆☆☆☆☆
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