『新宿駅の小さな店ベルクは、なぜいつも満席なのか?』 中山マコト
街の至る所にコーヒーショップが存在する昨今ですが、そのほとんどがチェーン店です。スタバもドトールもコメダもチェーン店であるからこそ成り立っています。ところが、JR新宿駅の駅ビル地下にある喫茶店「ベルク」さんは昔からある喫茶店で、とても個性的なお店です。
どこが個性的かといえば、とにかくメニューが多いこと。食事メニューは一般的な喫茶店メニューであるパンやケーキなどだけでなく、ご飯ものまであります。飲物はコーヒーやソフトドリンクだけでなくビールやワインもあり、酒のつまみになるようなソーセージやチーズ、日替わりのおつまみまであります。
大勢のお客様がいらっしゃる小さなお店なので、店がお客様にお願いしていることがいくつかあります。混む時間には相席をお願いしています。でも隣の人との距離が近いとついつい声を掛けてしまいたくなる人がいて、それが嫌だというお客様がいます。なので、「ナンパ禁止」の紙が壁に貼られています。
全席禁煙にしてくれないかという声もありますが、あくまでも「禁煙席」と「喫煙席」という分煙を貫いています。それが嫌なら、他の店へ行ってくださいとハッキリ言っているのだそうです。
こんな風に「ウチの店はこうなんです!」というものを貫き通している所が、ベルクさんの魅力となっています。だから、そんなベルクさんを好きな人だけがやって来ます。
テナントとしての契約更新で、大家さん(JR東日本)と揉めたことがあるのだそうです。今までの契約は解除して欲しいという、いわば立ち退き勧告を受けたのですが、これまでの契約には、そんな突然の変更を受けなければならないという条項はないと、これまで通りの契約更新を主張したのです。
大家さんはいろいろと追い出し作戦をしてきたそうですが、そんなことはやめてくださいという署名が2万人分も集まり、結局は今まで通りの条件でいられるようになったというあたり、この店のファンの多さにビックリしてしまいます。
自由に商売をすることを阻止しようとする力に負けず、熱いお客様方の支持を受け続けるベルクさん、実に魅力的なお店なんだなと思います。
今度新宿へ行く機会があったら、寄ってみたいなと思いました。
この本は 書評サイト 「本が好き!」 より提供して頂きました。どうもありがとうございました。
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