『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』 佐々木典士
著者の佐々木さんは、自分が所有するモノを徹底的に減らそうと考えました。といっても、一気に捨ててしまったわけではありません。明らかに不要なものは簡単に捨てられますが、それ以外の微妙なモノは、きちんと自分の心と相談してから処分しています。
いきなり処分してしまって、後から悔しい思いをしたくないですから、自分に対して猶予期間を設けています。その方法は、これは不要かなと思ったモノを一旦段ボールに入れてしまいます。その状態で何か月か過ごして、一度も使おうと思わなかったものは処分しようという手順です。
あそこにあると分かっているのに使わなかったという実績があれば、それは自分にとって不要なのだと納得ができます。この気持ちが大事なのです。
写真や手紙などは、データとして保存してから本体を処分しています。データはクラウドに保存しておきます。
その発想は、東日本大震災が発端だというのです。津波で家も何もかも流されてしまったという報道を見て、手元に置いておくリスクを感じてしまったのだそうです。クラウドにあれば、いつでも取り出せる。その方が安全だと。
自分の好きなものに囲まれた生活というのは、一つの理想ですけど、それによって自分が埋もれてしまったり、あるいは災害で一気に失くしてしまったり、そういうことを考えると、モノが少ない生活の方が、快適なのかもしれません。
いらないモノに囲まれていると、自分の空間を奪われるだけでなく、自分の時間まで奪われてしまうという著者の考察にドキッとしました。自分のお金を使って自分の自由を奪うモノを買い続ける生活、そんな生活は嫌だなぁ!と思うのです。
自分にとって必要な最低限のものって、トランク1つだと著者は言ってます。そうですね、きっとそんなものなんでしょう。自分にとっての最低限って、最終的には自分の身体だけですからね。
不要なものを捨て、身軽な自分でいることを目指したくなりました。
どんなに大事にしていても自分が死んでしまったら、殆どのものはゴミになってしまうのですから。
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