『リセット』 北村薫
「スキップ」「ターン」に続く「時と人シリーズ」の3作目です。
物語の始まりは、まだ戦争が始まる前の平和な女学生の日常です。比較的裕福な家庭の子供たちにとって、戦争はまだ遠い世界の話だったのです。段々と不自由な生活を強いられるようにはなっていくけれど、どこかのんびりした気持ちを持ち続けていた真澄さんでした。
そんな彼女が心を寄せた人がいました。でも戦争によって二度と会えない人になってしまったのです。
仏教には輪廻転生という考え方があります。一旦死んだ人が、また生まれ変わる。それは本当のことなのでしょうか?生まれ変わってまで、また巡り合いたいと思う気持ちを人は持てるのでしょうか?
そんな気持ちを忘れて人は生まれ変わってくるというのだけれど、ここに登場する2人は忘れていなかったのです。そんな巡り合いをした2人は、なんと幸せなのでしょう!
和彦さんの子供時代の思い出が、わたしの思い出と重なるのです。物は少なかったけど、夢と希望だけはたくさんあった子供時代。あの頃に戻ってみたいような気持になってしまいました。
1470冊目(今年8冊目)☆☆☆☆
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