『生きづらいでしたか?』 細川貂々
てんてん(貂々)さんは、自己肯定感がとても低いということを、自分自身でも分かっていました。大きな部屋に入ったら、必ずはじっこの席を選んでしまうし、運動は苦手だし、勉強もできないし、見た目も良くないし、とにかく自分ってダメダメって思いながら大人になってしまいました。
いつも、こんな私でゴメンナサイ。できるだけ他の人に迷惑をかけないようにしなくっちゃ、と思いながら生活していたのでした。そんな自分を変えられるかもしれないと思って訪ねてみたのが、「当事者研究」の会でした。
こんなにダメな自分をどうしたらいいのでしょう?と質問すると、返ってきたのは「ダメでいいんですよ、てんてんさんのネガティブ大事にしてくださいね」という言葉だったのです。
自分がネガティブであるという話をすると、たいていの人は「それじゃダメだ、ポジティブになりなさい」というし、自分でもそう思ってきたけど、ネガティブなままでいいってどういうことなの?と思ったてんてんさんは、自分も「当事者研究」をしてみようと決意したのです。
自分の弱いところを自分で認められないからこそ、「助けてください」が言えないんですね。自分にはできないことを無理してやってしまい、結果として誰かに迷惑をかける。だから迷惑を掛けたくないと思う。だけど一人ではできない。この負のスパイラルに陥ってしまって「生きづらさ」を更に大きくしてしまうのでしょうね。
何でも完璧にできる人なんていません。だからできないこと、苦手なことがあるのは当たり前なことです。「わたし、これ苦手だから誰か手伝って」「これを得意な人いませんか」って、ひとこと言えたら毎日はずっと楽になるのにね。
わたし自身、自己肯定感は決して低くない方だと思っていますけど、助けてという言葉を躊躇してしまうことが結構あります。それは何故なんだろうって、ずっと思っていたんですが、この本がその回答をくれました。
「自分の弱いところを受け入れて認めていくことが本来の自己肯定感」 だというのですが、自分の弱いところを受け止めるということに、何故か抵抗しちゃうんですよね。どこかでそんなはずはないって思ってるんだろうなぁ。
今は元気でも、歳と共にできないことが少しずつ増えていきます。そんな時に、この言葉を、そうだそうなんだと思い出しながら生きていければ、人生はずっと楽になる。そんな気持ちになりました。
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