『こといづ』 高木正勝
「コトが出づる」から、「こといづ」。
丹波篠山の小さな村で暮らすようになった高木さん夫妻。古い家を直しながら、畑を耕しながら、音楽を作っています。
ご近所の先輩方に、いろんなことを教わります。畑のつくり方、自然との関わり方、歌やお囃子、お祭り、草刈りをして、雪掻きをして、干し柿を作ったり、薪を集めたり、ほぼ自給自足な生活の中から、様々なことを学びます。それは音楽にも反映されます。
自然の中で暮らすことで、今まで気付かなかったことに気付きます。風の音、鳥のさえずり、虫の声、せせらぎの音、何もかもが違って聞こえてきます。
ご近所の方々との交流が、心の在り方を変えていったのですね。困った時には人に頼っていいということ。何もしなくても、自分がここにいるということに価値を見出してくれる人がいるということ。
最初は嫌だったカビも、虫も、付き合い方でなんとかなるものなのですね。小さな気付きが毎日ある暮らしに、高木さんは自分の居所を見つけたと感じたのでしょう。
ことばも出づるし、音も出づる、自然と共に生きる幸せを感じました。
この本は 書評サイト 「本が好き!」 より提供して頂きました。どうもありがとうございました。
1502冊目(今年40冊目)☆☆☆☆☆
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