『親の家を片づけながら』 リディア・フレム
人はいつか父と母を失い、孤児になる。子どもとはもういえない年になっても、残される者は身寄りのない孤児だ。(本文より)
住む人のいなくなった実家の片付けは、想像以上に面倒なものです。思い出という複雑なものを呼び覚ましてくる様々な物と対峙していると、想像以上に時間がかかるのです。でもいつまでも終わらせないわけにもいかず、事務的にやらなければ先に進まないという気持ちも出てくるし。
これは自分が保管しようか。あれは誰かにあげようか。とにかく、キリの付けにくい作業なのです。リディアさんは、その作業を1人でやっていました。単調な作業に嫌気がさしたころに、自分が知らなかった両親の若いころの秘密を知ることになります。
両親はナチスドイツの収容所にいて、そこから生還した人たちだったのです。きっとそれは辛い思い出だったのでしょう。娘であるリディアさんは、何も知らされていなかったのです。
親の家を方づけるという作業は、殆どの人にとって避けることのできないことです。細かいことを考えたくないから業者に頼むというのもアリですが、他人には任せられない部分というのが必ずあって、全く何もしないというわけにはいかないところが悩みの種なのです。
片づけてくれる誰かがいない人が増えています。自分が最後の人になるということが分かっている人ならば、元気なうちにある程度の片づけを自らしておく必要があると思います。自分だけは大丈夫なんて思っている場合ではないのです。
急に入院することも、急に死んでしまうことも、ないなんて誰にも言えないのです。自分にとって大事なものとは何なのか?それを自分がいなくなった後どうして欲しいのか?それだけは決めておかないと。そんなことを考えさせられる本でした。
1506冊目(今年44冊目)☆☆☆☆
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