『女中譚』 中島京子
すみさんは子供のころに奉公に出されて女中さんをしていました。住込みの女中さんは、食べる心配はない代わりに、自由はほとんどない生活でした。少しでもいい稼ぎを求めて女給さんになったりもしましたけど、比較的条件が良いところを探して女中さんとして働いていました。
戦前の豊かな家庭で女中さんを雇うというのは、決して珍しいことではありませんでした。でも、すみさんが働いていた家庭はいずれもちょっと訳ありでした。
どんな家庭にもいろいろな事情があるのは確かですが、大抵の場合は人間関係のいざこざが問題になるんですよね。行くところがない女中さんだから耐えられるという場合もあるけれど、すみさんは普通の人とはちょっと違っていて、嫌ならすぐに辞めてしまうこともできる人でした。
秋葉原に住み、メイドさんとも仲良くしている老婆のすみさん。彼女の話は日本の女性がいかにたくましく生きてきたかという証です。この本では戦前の女中さんの話がいろいろ聞けましたけど、戦後の話も聞いてみたいなと思いました。
同じ著者の「小さいおうち」も女中さんのお話だけど、あちらは山の手のお話でしたね。こちらはもっと俗っぽいお話が多くて、いろんな女中さんがいたんだなぁあって思いました。
1511冊目(今年49冊目)☆☆☆☆
« 『毒よりもなお』 森晶麿 | トップページ | 『むかしむかしあるところに、死体がありました。』 青柳碧人 »
「日本の作家 な行」カテゴリの記事
- 『小さな神のいるところ』 梨木香歩 25-331-3727(2025.11.29)
- 『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』 長月天音 25-293-3689(2025.10.22)
- 『日本のなかの中国』 中島恵 25-244-3640(2025.09.03)
- 『文庫旅館で待つ本は』 名取佐和子 25-232-3628(2025.08.23)
- 『この庭に』 梨木香歩、須藤由希子 25-221-3617(2025.08.12)



コメント