『極彩色の食卓』 みお
燕くんは、絵を描くことに自信を無くしてしまいました。何をする気にもならず、通っていた美大へも行かなくなり、付き合っている女性の家を転々とする生活をしていました。
そんな彼を不思議な女性「律子さん」が拾ってくれました。家には部屋がたくさんあるから、そこに住めばいい。そのかわりにご飯を作って欲しいと言われたのです。
律子さんは、かつて有名な画家でした。でも今は世間に出ることはなく、家の中で絵を描いてばかりでした。
燕くんは家事能力ゼロの律子さんの為に食事を作りました。最初は変な人だなぁって思っていたけれど、話をするほどに律子さんの不思議な魅力に惹かれていきます。料理は全くできないけれど、料理に対するアイデアとか、色へのこだわりは只者ではないと思えたのです。
燕くんは両親の期待に応えようとして、その重さにつぶされていたのですね。それをどう訴えていいのか、どう向き合えばいいのか、分からないままに逃げていたのですけど、律子さんと暮らすうちに、少しずつ心が柔らかくなってきたんです。
それにしても燕くんが作るお料理のおいしそうなこと!!お料理の腕というよりも、センスがいいって感じがしました。その日の天気、気分、使える食材。そういうファクターを料理という作品にしてしまうところが素敵だなぁ。
意外な人との出会いが、自分を見つめなおすきっかけになったのでしょうね。彼の将来がとても楽しみです。
#極彩色の食卓 #NetGalleyJP
1525冊目(今年63冊目)
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