『あなたの人生、片づけます』 垣谷美雨
片付け屋の十萬里さんに、片付けができない人の所へ行ってアドバイスして欲しいという依頼が入ります。片付けができない本人は、家が片付いていないという自覚はないわけですから、実家のお母さんや、嫁に行った娘などから依頼されるのです。
十萬里さんは、家へ訪問し状況を確認していきます。物で溢れかえった家の中をチェックし、その人の「片付けられない度」を診断します。十萬里さんに依頼が来るような患者さんはほとんどが「重症」なんです。
長いこと同じ家に住んでいると、「何かでいるかもしれない」「いつか使う」という言い訳で、捨てられないままのものが増えていくのです。
本人がそこにいる間はいいのだけれど、死んでしまったり、老人ホームへ入るということになったら、結局は全部捨てることになるんです。本人は価値があるものだと思っていても、結局はいらないものばかり。最終的にはお金を払って捨てるしかなくなるんです。
そんな説明をしても、なかなか分かってはもらえません。物を捨てられないというのは、最終的には心の問題なんです。物を捨てることに罪悪感を持つ人や、物を買うことだけに楽しみを見出す人というのが本当に多いのです。最終的にそれを誰かが片づけなければならないということを理解してもらうという活動は、本当に大事です。
十萬里さんは、その心の部分を考えてくれる片付け屋さんです。様々な手を使って「捨てなければいけない意味」を分かってもらうスペシャリストなんです。こういう仕事をする人が、これからは必要ですねぇ!
1521冊目(今年59冊目)
« 『グリーン・マイル 6』 スティーブン・キング | トップページ | 『Blue』 葉真中顕 »
「日本の作家 か行」カテゴリの記事
- 『走れ!移動図書館』 鎌倉幸子(2021.03.01)
- 『コルビュジエさんのつくりたかった美術館』 五十川藍子 金子ともこ(2021.02.09)
- 『時が止まった部屋 遺品整理人がミニチュアで伝える孤独死のはなし』 小島美羽(2021.01.16)
- 『約束の猫』 村上早紀+げみ(2020.11.29)
- 『定価のない本』 門井慶喜(2020.10.20)
コメント