『チャリング・クロス街84番地』 ヘレーン・ハンフ
ニューヨークに住む作家のヘレーンさんは、手に入れたい古書を求めてロンドンの古書店「マークス社」へ問い合わせの手紙を出しました。マークス社は、リストの中から入手することができた何冊かをヘレーンさんへ送ってきてくれました。ヘレーンさんは、その本たちのすばらしさに感動します。感謝の気持ちと共に、再度読みたい本のリストを手紙にしたためたのです。
ヘレーンさんとマークス社の手紙のやり取りが続きます。少しずつ本以外の話をするようになり、書店と顧客というより友達のような関係になっていくところが面白いのです。
当時(1950年ころ)のロンドンは、様々な物が手に入れにくい状態でした。それを知ったヘレーンさんは缶詰やストッキングなどをマークス社へ送るようになりました。素晴らしい本を自分に送ってくださる方たちに報いたいという気持ちからです。マークス社の人たちは、それを申し訳なく思いながらも、ヘレーンさんの好意をありがたく受け、クリスマスにはプレゼントを送りあうような仲になっていったのです。
本の注文以外にも手紙や写真を互いに送りあい、友情は深められていったのです。
このような交流が20年も続き、でも実際に会うことはありませんでした。
本当にあった、不思議なお話。
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