『お釈迦さまの脳科学』 苫米地英人
認知科学者である苫米地先生が仏教について書いてらっしゃるということに興味を感じ、この本を読みました。
まずびっくりしたのが、苫米地先生が天台宗で得度されているということです。つまり、仏教の修行をされた方なのだということです。
苫米地先生がこの本の中で語られているのは、日本には本当の仏教が伝わってきていないということです。葬式も位牌も、お釈迦様の教えとは何の関係もないというのです。本来の仏教は絶対的な存在である神を否定し、平等な社会を目指していたというのです。ですから、身分制度など容認するわけがない。修行した年数が長い方がエライなどという考え方はない、というのです。
本来ならば仏教の僧は何も持たずに寺へ入り、家庭を持たずに修行するものなのだから、世襲で寺を守るなどという考え方自体が間違っています。
財産が欲しい、高い身分になりたいというような煩悩は、確かに仏教の教えとは反するものです。
この本を読んで初めて知ったのは、ブッダはカーストがあるインドで、カーストを破ることをしたということです。ブッダより上のカーストの人間がブッダの話を聞きに来てブッダを師と仰いだというのは、カースト破りであったということなのです。カーストの差別なしに弟子を取ったということが、インド社会にとって大きなショックであったのは間違いないでしょう。
日本人が信じている仏教というものの在り方が、実は日本独自の不思議なものであるということを多くの人が知った時、仏教の考え方が変わっていくのでしょう。「坊主丸儲け」なんて言葉が死語になるのは、意外と近い未来なのかもしれません。
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