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『平場の月』 朝倉かすみ

平場の月

朝倉かすみ

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 青砥と須藤は病院でばったり出会った。2人は中学校の同級生だった。青砥は須藤が好きだったので、付き合って欲しいと告白したのだけれど、あっさり断られていた。あれから30年以上経った今、2人とも50代になっていて、2人ともバツイチで1人暮らしになっていた。

 青砥と須藤はお互いに懐かしくて一緒に酒を飲みに行き、楽しい時間を過ごした。そして、ちょっとずつ2人の距離が縮まっていった。

 2人ともお互いのことを大事だと思う余り、核心の所を詰めていけないもどかしさがある。青砥くんとしては、須藤さんにもっと自分へ頼って欲しいし、弱音を吐いて欲しいし、もっともっとこっちへ来て欲しかったんだけど、そうしてくれたのは須藤さんが手術をして療養している間だけだったのね。

 少し元気になって社会復帰できそうになった時点で、須藤さんはひとりで生きたいと言ってきた。青砥くんは、その言葉をまともに取ってしまって、1年待とうという返事をしてしまったのが痛恨のミスだったね。

 須藤さんは、自分の寿命がもう尽きそうだということを知ってしまったから、青砥くんを道連れにはできないと考えたのかな?

 青砥くんはね、その事実を知らせて欲しかったんだよ。どんな状況であろうと最後まで一緒にいたかったんだよ。そばにいて手を握ったり、ちょっとおしゃべりしたりしたかったんだよ。一緒に怒ったり、泣いたりしたかったんだよ。

 人を愛するってそういうことなんだと思う。それを分かってもらえなかったのが悲しいよ、須藤さん。

#平場の月50歳の恋愛熱情哀しみ #NetGalleyJP

 1568冊目(今年106冊目)

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