『しあわせのパン』 三島有紀子
りえさんと水縞くんの営むパンカフェ「マーニ」は、北海道洞爺湖畔の月浦にあります。
実らぬ恋に悩む女性、父と自分を置いて家から出ていった母への思いをどうしてよいのか分からない少女。生きる希望を失った老夫婦。どうしようもない思いを持って、彼らは「マーニ」にやってきます。
自分1人だけで悩んでいると、どうしようもなく悲しくなってしまうことがあります。自分にはいったい何ができるのかが見えなくなってしまうことがあります。そんな傷だらけの心を優しく包んでくれるお店っていいですね。
自然に囲まれた中で、コーヒーを飲みながらボーっとする時間。おいしいものを食べてお腹も心も温まる時間。そういう時間が人間には必要なんだなって、気付かせてくれる物語です。
最後の物語「カラマツのように君を愛す」で、水縞くんのりえさんに対する思いが、じわっと伝わってきました。そういう出会いっていうのもステキだと思いました。
巻末の「月とマーニー」の絵本がとってもいいですね。自分の存在意義はそういう所にあるのかな?って思えてきました。
1569冊目(今年107冊目)
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映画も良かったですが、小説版も登場人物たちの心情が描かれていて深みがありましたね。
映画のロケ地となった喫茶店に行ったことがあるのですが、あの窓から見える洞爺湖の風景は、水嶋くんも映画で言っていたようにずっと眺めていてもあきません。
映画のような絵本風に仕上げられていた「月とマーニ」もすてきでした。
投稿: 日月 | 2019年6月26日 (水) 20:15
日月さん☆コメントありがとうございます。
ロケ地の喫茶店にいらっしゃったんですか、ステキですねぇ!
きっと心を洗われるような景色なんでしょうね。
投稿: Roko(日月さんへ) | 2019年6月26日 (水) 22:17