『余命3年 社長の夢』 小澤輝真
北海道の小さな建築会社「北洋建設株式会社」は45年以上も前から、受刑者を採用しており、その数は延べ500人以上、使ったお金は2億以上です。北洋建設株式会社の小澤社長は『脊髄小脳変性症』という進行性の難病に冒され、余命3年の宣告を受けています。
次第に手足が不自由になり、話す言葉も不明瞭になっている状況。小澤社長の信念は「犯罪者であっても幸せになる権利がある。誰もが人の役に立つ力を持っている。」だといいます。その信念を通すため自らの命を削りながらも懸命に活動を進めています。(内容紹介より)
小澤社長の持論は「受刑者が再び刑務所に戻ってしまうのは仕事がないからである。仕事があれば、かれらは再犯者にはならないのだ。」ということです。実際問題として、前科者を雇ってくれる事業所はなかなかないのです。あったとしても、彼らをちゃんとした人間として扱ってくれないところもたくさんあるというのです。
刑務所から会社までの交通費も、仕事用の作業着も、社宅も食事も、すべて用意して待っていてくれる会社なんて、なかなかありません。そこまでして受刑者たちを雇っていこうとしているのは、社長はじめ、北洋建設の人たちが彼らも同じ人間なのだという考え方を持っているからなのです。
遠い場所にある刑務所で、北洋建設の求人ポスターを貼ってくれない場所があると聞けば、「遠いからこそ来たいと考える人がいるはずです。」と訴えかけ、刑務所によって求人募集の期間が違う所があるなどの問題があると考えた時には、車椅子で法務省に陳情へも行っています。その時に鈴木宗男氏が同行してくれたのも、社長の熱意があればこそです。
そんな小澤社長のこれまでの歩みが書かれたこの本を読むことで、再犯者を1人でも減らすことができるのではないかと思います。
自分を愛していれば、前を向くことができる。
だから、一番大事にするべきは自分だと思う。
幸せをかみしめて、今できることを精いっぱいやろう。(本文より)
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