『「カッコいい」とは何か』 平野啓一郎
「カッコいい」という感覚を初めて知ったのはいつだろう?
子供のころ世間が言う「カッコいい」の代表は石原裕次郎や加山雄三だったような気がするけど、わたしが最初にカッコいいと思ったのはアベベだったような気がする。
マラソンを走り切っても涼しい顔をしていて、余裕でジョギングをしていた彼を見てわたしはカッコいいなぁと思った。2位以降の選手がフィニッシュラインを越したとたんに倒れ込むのとは別次元の強さだった。
もう少し大きくなってからカッコいいと思ったのはロック・ミュージシャン。大人たちは不良と呼ぶけれど、長い髪も変わった服装も演奏する音楽もカッコいいと思った。
カッコいいというのには2種類あって、ある時点にカッコいいと感じるものと、いつまでたってもカッコいいものがある。ファッションなどの場合にはカッコいい時期に限りがあって、後から冷静になってみると何がカッコ良かったのか分からないものもある。
流行っているからカッコいいのか、カッコいいから流行っているのかというのは判断が難しいけれど、カッコいい人というのはいつの時代にもいる。
カラヤンや、マイルス・デイヴィス、エルビス・プレスリーのような人たちに、音楽性はもちろんだけど、一目見た時のカッコよさから惹きつけられた人も多いんじゃないかな?カッコいいって理屈じゃないから、そう感じた瞬間にシビれちゃうんだよね。
カッコいいっていう感覚は個人差がかなりあるはずなのに、同じ人、同じものに多くの人が惹きつけられてしまうって不思議だな。
#カッコいいとは何か #NetGalleyJP
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