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『マンガ エニグマに挑んだ天才数学者 チューリング』 フランチェスカ・リッチョーニ、トゥオノ・ペッティナート

マンガ エニグマに挑んだ天才数学者 チューリング

フランチェスカ・リッチョーニ(文)
Francesca Riccioni 
 
トゥオノ・ペッティナート(絵)
Tuono Pettinato

講談社

英国

Turingnote イングランドの新50ポンド札の肖像に、コンピューター科学の先駆者で暗号解読者のアラン・チューリング(1912~1954年)が採用されることになりました。この方の経歴を読んでみて、とても興味が湧いてきたので、この本を読んでみました。

 いやはや、大変な方です。数学的才能だけでなく、長距離ランナーとしての才能もあった方です。第2次世界大戦中、ナチス・ドイツの暗号(エニグマ)解読に多大な役割を果たし、連合国の勝利に貢献したのです。その後コンピュータの基礎も作られた偉大な数学者なのです。

 かなり変人で、コンピュータの父と呼ばれるノイマン氏と一緒に研究しないかと声を掛けられたにもかかわらず、あっさり断ってしまったり。自分がこうだと決めたことを邪魔するものは、容赦なく排除し続けていたのです。

 そして、最大の問題は同性愛者だったということです。彼が暮らしていた時代のイングランド(1967年まで一切の同性愛行為が違法)では、同性愛は犯罪でした。1952年に、当時19歳の少年と性的関係を持ったとして、わいせつ罪で有罪となり、禁錮刑の代わりに薬品投与による「化学的去勢」を伴う保護観察処分を選んだのです。

 これによって肉体的にも精神的にも憔悴したチューリング1954年に自殺したのです。

 チューリングを同性愛者として迫害したことについて英政府の謝罪を求める署名活動が高まり、政府は2009年に謝罪しました。さらに、チューリングへの恩赦、あるいは有罪判決の撤回を求める声が高まり、政府は2013年に恩赦を与えたのです。

 パブリックスクールの生徒だった当時から優秀過ぎて先生や同級生たちから疎まれ、その後も素晴らしい功績を挙げたにもかかわらず、犯罪者として扱われたチューリング。大変な人生を送った彼の物語は、とてもスリリングで興味深いものでした。マンガだからこそ描けるところもあるなぁと感じる、とても面白い本でした。

 1584冊目(今年122冊目)

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