『七つの試練 池袋ウエストゲートパーク XIV 14』 石田衣良
マコトは今日も池袋の果物屋でクラシック曲をBGMにして店番をしている。キング・タカシから振られてくる仕事は様々だけど、1つだけ確かなのは、世の中には迷惑な奴がたくさんいるってこと。タカシが率いているBボーイズたちは、大人から見れば不良の集まりかもしれないけど、彼らの方がよっぽどマトモに生きている。仲間を大事にしているし、キングを中心として町をちゃんと守ろうとしている。
マコトに調査を依頼してくる人たちは、結構オハイソだったり、有名人だったりするけど、そういう人たちの生き方を羨ましいと思うこともなく。そりゃ、お金はあった方がいいのは確かだけど、とりあえず好きなことができる程度の金があって、友達がいて、口うるさい母親は元気だし、淡々と生きているマコトだからこそキングは信頼して仕事を頼んでくるんだよね。
いつもファミレスでハッキングの仕事をしているゼロワンだって、今じゃ偉くなっちゃったサルだって、マコトに対する信頼感は変わらない。
”浜の真砂は尽きるとも世に盗人の種は尽きまじ” と石川五右衛門は言ったけど、何百年経ったってそこのところは変わらないんだね。あの手この手で悪事のアイデアは生まれてくる。それと闘い続けるマコトなんだから、もうちょっとモテてもいいのかもね?
この本には以下の4編が収められています。
「泥だらけの星」 世の中には、人のスキャンダルでひと稼ぎしようとする奴が必ずいるんだよ。
「鏡のむこうのストラングラー」 女の子の首を絞めるのが趣味なんて、趣味良くないよ。
「幽霊ペントハウス」 億ションで、夜になると変な音がするんだけど、幽霊の仕業なの?
「七つの試練」 ネットで流行ってる「七つの試練」ってゲームで怪我人が出たんだ。
1578冊目(今年116冊目)
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