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『彼方の友へ』 伊吹有喜

彼方の友へ

伊吹有喜

 佐倉ハツさんは「乙女の友」という雑誌がとても好きでした。毎月読んでいたその雑誌を買えなくなった今も、印刷所の友達からもらった「乙女の友」の挿絵の試し刷りの紙をノートに貼り付けて、大事に大事にしていました。

 ひょんなきっかけで「乙女の友」の編集部で仕事をすることができるようになってから、知らないことだらけでビックリしながらも、彼女の毎日は夢のようでした。

 この雑誌編集者たちは、この雑誌を愛する読者たちのことを、同じように美しいもの、ステキなものを愛する人たちとして親しみを込めて「友」と呼んでいました。

 戦争が始まり、こういう雑誌には厳しい時代がやってきても、みんな必死に雑誌を守っていったのです。

 今でも女性が会社で働いていると様々な圧力がかかるものですが、戦前に出版業界で働いていくのはさぞかし大変だったでしょう。でも、愛する雑誌のためにめげずに頑張っていたハツさんはイキイキとして、ホントにステキです。

 なかなか自分に自信が持てなかった彼女に力を貸してくれる人が多かったのも、そんな彼女の一途さに惹かれる人が多かったからなのでしょうね。

 1574冊目(今年112冊目)

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日本の作家 あ行」カテゴリの記事

コメント

あとで調べてみたら、有賀主筆はじめ、主だった登場人物にはほとんどモデルがいたのにおどろきました。主人公の書いた小説にもベースがあったようです。

戦争中は、美しいものが根こそぎ奪われましたが、当時の少女たちは、たとえ美しいものが禁止されても、隠したり、疎開させたりして雑誌を守り通していたそうです。

日月さん☆コメントありがとうございます。
登場人物にモデルがいたなんて、考えもしませんでした。

「贅沢は敵」の時代に、乙女のために雑誌を作るってホントに大変だったろうなぁって思いながら読んでいました。

そんな時代でも美しいものを求める気持ちを失くさないでいたからこそ、戦後に頑張れたのでしょうね。

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