『「うつ」は炎症で起きる』エドワード・ブルモア
「うつ」という言葉を聞いた時、ほとんどの人は心の病と答える。大きなストレスに心が折れた状態だと思う人がほとんどです。それは患者だけでなく、医師や医療関係者でも共通の認識なのです。
この本の著者であるブルモア氏は、それに意義を唱えているのです。「うつ」の原因はもちろん何らかのストレスが原因であるけれど、そのストレスが「体内の炎症」を引き起こすことによって症状が発生するというのです。
肥満・歯周病・免疫疾患などによって身体のどこかに炎症が発生し、それが「うつ」を引き起こすのだ、という理論は実に画期的なのです。たとえば歯周病の場合、それは歯科医へ行くべき症状であるということは誰しも理解しますが、歯周病が原因となる炎症によって「うつ」になるなどとは、これまで誰も考えなかったのです。
幻覚、幻聴、妄想などは典型的精神の病です。認知症の患者にもこういった症状が現れることがあります。これらの原因は脳の機能の問題と考えられがちでしたが、実は違っているのかもしれません。身体のどこかの炎症が原因なのかもしれません。リュウマチや歯周病などは年を取ればかなり多くの人が発症するものです。
これらの炎症が原因だとしたら?うつだけでなく、認知症の治療もこういった点を考えるべきなのかもしれません。まだ研究段階の理論ですが、これが実証されたらかなり画期的な治療が可能になりそうです。
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