『クジラアタマの王様』 伊坂幸太郎
あっちが夢で、こっちが現実(本文より)
お菓子メーカーに勤めている岸さん。直属の係長の栩木さんとはいい感じで仕事ができてるのに、部長がとっても困った人で、会議はもちろん、いろんな場面で酷い目にあってます。でも、仕事は嫌いじゃないから、真面目に毎日働いています。
そんな岸さんが、何故かミュージシャンのヒジリさんと都会議員の池野内さんと接点ができてしまうのです。何故か夢の中で。
夢の中で戦って勝てたら現実生活が上手くいき、戦いに負けたら現実生活も上手くいかないという話を、岸さんは半信半疑で聞いています。そんなことあるのかなぁ?自分も一緒に戦っているって言われているけれど、ホントなのかなぁ?ってね。
物語の中でいろんなことが起きるのですが、いずれも今の時代を反映しているなぁって思うことばかり。SNSで誹謗中傷されるとか、TVや週刊誌のレポーターに追っかけられるとか、どうでもいいこと(どうでもよくないこともたまにあるけど)をどうしてそんなに必死になって追っかけたり、情報拡散したりしたい人が沢山いるんだろう?って思います。
文章の合間に出てくるセリフのないマンガがとってもいい感じでした。文章だけではイメージできなかった鳥の姿とか、登場人物の雰囲気がより鮮明に伝わってきました。こういうスタイルの小説を作ろうと考えるのも、いかにも伊坂さんだなぁって思います。
終盤はドキドキしっぱなしで、ページをめくるスピードがいつもより早くなるほど!とっても面白い作品でした!!
1602冊目(今年140冊目)
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