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『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。』 宮下奈都

とりあえずウミガメのスープを仕込もう。

宮下奈都(みやした なつ)

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 2016年 第13回本屋大賞を受賞した「羊と鋼の森」の著者の食にまつわるエッセイ集です。

 食べ物には様々な思い出が詰まっています。子供のときに作ってもらったおやつや、どこかへ旅に出た時に出会ったもの。家族のために作る食事やお弁当などなど。

 最後に掲載されている小説に出てくるウミガメのスープの話。最初は何だろう?って思ってたのですが、「バベットの晩餐会」のスープのことだったんですね。あの映画はホントにステキだったなぁって思い出しました。

 この本の中で何回か登場した「雪を食べる」という話。わたしも子供の頃のことを思い出しました。降ったばかりの雪をコップですくってお風呂に入りながら母が食べていました。わたしにもおいしいよって渡してくれて、冷たくておいしかった!他所の家ではお腹を壊すよって怒られちゃうところですけど、うちの母はお腹が丈夫だったからでしょうか、ちょっと食べる分には大丈夫だよって言ってました。

 電車が止まってしまった時に、バッグの中に蒸しパンがあるから安心だったって言う話も、なんだか不思議な親近感を覚えてしまいました。わたしの場合は、あの東日本大震災の日、渋谷から家まで歩いて帰らなければならなかったんですけど、バッグの中にその日の午前中にもらったお菓子がたくさんあって、これを食べながら帰れば大丈夫って思ったことを思い出しました。
 
 宮下さんの静かな淡々とした文章が心地よいエッセイ集でした。

 バベットの晩餐会は、映画も小説もステキでした。

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#とりあえずウミガメのスープを仕込もう。 #NetGalleyJP

1625冊目(今年163冊目)

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