『銀河食堂の夜』 さだまさし
四ツ木銀座の中ほどに「銀河食堂」という小さな店がございます。おいしい酒と肴でもてなしてくれるこの店は、とても不思議な店なのです。常連客ですらマスターの名前も、何処から来たのかすら知りません。毎日料理をどこからか届けにくる「おかあさん」の名前やマスターとの関係すら分かりません。
この店の常連は、地元の悪ガキがそのまま大きくなっただけの中年男たち、口は悪いし、うだつは上がらないけど、仲間思いの心根の優しい奴らばかり。最近常連になりつつある姐さんたちと結構仲良くなったりして、毎晩ここにやってくるのが楽しみで生きているような連中でございます。
話に入る前に店や登場人物の紹介があるのですが、これを読んでいると「さださん」の声が聞こえてくるのです。あの優しい声で「しょうがない奴ばっかりでしょう、金はないし、モテないし、見た目もパッとしないけど人情だけは熱くてね」って言ってるような気がするのです。
いろんな人にいろんな人生があって、苦しいことも楽しいこともいろいろあって、みんな助け合って生きてるんだよねぇって気持ちになる短編集でした。
ヲトメのヘロシ始末「初恋心中」
オヨヨのフトシ始末「七年目のガリバー」
マジカのケンタロー始末「不器用な男」
まさかのお恵始末「小さな幸せ」
むふふの和夫始末「ぴい」
「セロ弾きの豪酒」
1644冊目(今年182冊目)
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