『クレンショーがあらわれて』 キャサリン・アップルゲイト
ジャクソン少年の前に突然現れたのは、ネコのクレンショー。でもこれが初めてじゃないんだ。数年前にジャクソンの家族がミニバンで暮らしていたころ、クレンショーは現れてた。ということは、また、あんな暮らしに戻ることになってしまうのか?そう考えただけでジャクソンは気が気じゃない。
ジャクソンの両親は決して不真面目な人たちじゃない。でも父親が病気になって仕事を失ってから、お金からは見放されてしまったらしい。家を手放してミニバンで暮らしていた期間は短かったけれど、福祉とか人から助けてもらうということが受け入れられない父親は必死だったことを覚えている。その後アパートで暮らせるようになったけど、再び我が家の経済状況は厳しいらしい。
クレンショーが何故自分の前に現れるのか分からない。他の人には全く見えないらしいけど、ジャクソンにははっきり見えている。クレンショーはジャクソンにこう言う「ぼくはきみにとって必要だから現れるんだ」ってね。
貧困という問題は深刻だけど、それ以上に深刻なのは、親が子供にその原因や事実について話をしないってことなんだなぁ。子供には正直であれと言うのに、親は子供に対して正直じゃない。そんなこと子供には分からないって思ってるみたいだけど、子供はけっこう分かってるんだから、隠したってしょうがない。ちゃんと話しあって、一緒に頑張ろうって気持ちを持つことの方が大事だよね。
子供向けの本だけど、とっても重いテーマを持ってるなって思いました。どんなことであれ、子供には内緒でなんて思っていることがあったら、それは間違いだよって大人たちに伝えたくなりました。
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