ブログ内検索


  • ダメでもいいからやれ。
    体験もしないでお前ら、
    すぐに「ダメだ」って言うのは、
    学校で聞いただけの話だろう。
    やってみもせんで何を言っとるか
    (by 本田宗一郎)

読書Love!

  • 本が好き!
  • NetGalleyJP
    プロフェッショナルな読者
    グッドレビュアー 100作品のレビュー 80%

« 『マイク』 アンドリュー・ノリス | トップページ | 『クレンショーがあらわれて』 キャサリン・アップルゲイト »

『トランスジェンダーの私がボクサーになるまで』 トーマス・ページ・マクビー

トランスジェンダーの私がボクサーになるまで

トーマス・ページ・マクビー
Thomas Page McBee

小林玲子 訳

NetGalleyJP

米国

 トーマスは女性として生まれたけれど、子供の頃から自分が女であることが不自然に感じていました。ずっとショートカットで化粧もせず、パンツをはいていて、周りの人たちから「男か女か分からない」と言われることもありました。

 色々と悩んだ末にトーマスは30歳の時に決断をしたのです。テストステロンを注射して男の身体を手に入れるのだと!

 乳房を切除し、テストステロンを摂取することでドンドン男の身体になっていきました。ひげも生え、見た目は完全に男となったのですが、最後に残ったのが心の問題でした。「男とは、どう生きなければならないのか?」その答えが見つかるかもしれないと思い、ボクシングを始めたのです。

 トーマスはずっと男になりたいと思っていました。でも、男として育ってきたわけではないので、どうしていいのか分からないことが沢山あるのです。たとえば「男とは弱音を吐かないものだ」「男はケンカを売られたら逃げてはいけない」などの「男らしさ」と、どう対峙したらよいのか分からないのです。

 ボクシングのトレーニングを行うようになって「怖い」という感情とも戦わなければならなくなりました。「男なんだから怖がっていると相手に悟られてはいけない」という思いに捕らわれてしまうのです。でも、怖いものは怖いのです。

 トレーニングを重ねていくうちに、いろんなことに気付けいてきます。自分が怖いと思うように、相手だって怖いのだということや、他人からのアドバイスはありがたいものだとか、毎日トレーニングすることによって身体ができてくるに連れて自信も生まれてくるのだと。

 トランスジェンダーの人が持つ悩みは本当にいろいろあるのですね。かつて女だったから分かることもあれば、かつて女だったからこそ分からないこと。男とはという幻想が自分を苦しめてしまうということ。

 そういう悩みを1人で抱えていたら、本当に苦しいでしょうね。トーマスには愛する人がいて、その人がちゃんと見守っていてくれるのだから、幸せなんだよねって思いました。

 一口にトランスジェンダーと言ってしまいますけど、それぞれにいろんな悩みを持って生きているのです。彼らが自由に発言できて、それを素直に認める人が増えれば世界はもっと楽しくなるんだよって思います。

 トーマスの未来が明るいことを信じたいです。

#トランスジェンダーの私がボクサーになるまで #NetGalleyJP

1630冊目(今年168冊目)

« 『マイク』 アンドリュー・ノリス | トップページ | 『クレンショーがあらわれて』 キャサリン・アップルゲイト »

海外 その他」カテゴリの記事

伝記・日記・ノンフィクション」カテゴリの記事

NetGalleyJP」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 『マイク』 アンドリュー・ノリス | トップページ | 『クレンショーがあらわれて』 キャサリン・アップルゲイト »