『一日一生』 酒井雄哉
酒井さんは、戦後職を転々としたのですが、どれも上手くいかず、40歳で仏門に入り得度した方です。約7年て約4万キロを歩くなどの荒行「千日回峰行」を80年、87年の2度満行した、天台宗北嶺大行満大阿闍梨でらっしゃいます。
結婚しても奥様を早くに亡くされ、仕事も長く続けられず、仏教によって救いを得たということを常に根底に置かれている方です。ですから、大阿闍梨ってスゴイですねと言われても、自分もこれまでに様々な罪を犯した者で、修行によって少しマシになっただけですとおっしゃるような方です。
人間生きていれば、毎日いろんなことがあります。楽しいことも、つらいことも、嬉しいことも、悲しいことも、努力してもどうにもならないこともあるのです。もし今、不幸だと感じても、それは決していつまでも続くものではなく、もし幸せだと感じても、それもまた永久に続くものではないのです。
毎日毎日、一刻一刻、すべてのものは変わっていくのです。そのうつろいの中で、どう自分を生かしていくのか、生かされていくのか、それは誰にも分からないのです。いつも謙虚な気持ちで、いつも修行であるという気持ちで、淡々と毎日を過ごしていくことで心の平安は保たれるのでしょうか?
幸せとは誰かからもらうものではなく、自分で見つけるものなのですね。それが、この本を読んで感じたことです。
1661冊目(今年199冊目)
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