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『おらおらでひとりいぐも』 若竹千佐子

おらおらでひとりいぐも

若竹 千佐子(わかたけ ちさこ)

第158回芥川賞受賞

 桃子さんは周造さんのことをとても愛していました。これ以上素晴らしい人はいないと信じていました。でも、彼はあっけなく亡くなってしまいました。子供は2人いますけど、2人とも家を出てしまって、桃子さんは10年以上ひとり暮らしをしています。

 ひとりで暮らしているから、何時に起きようが、何をして過ごそうが自由なのです。でも、これといってしたいこともないというのが正直なところです。

 周造さんがいなくなって悲しいなぁと、ずっと思っています。どうしてわたしを置いて先に逝っちゃったんだと思っています。

 若い頃は何にも悩まずにできたことが、歳をとるとおっくうになるばかり、自分は年寄なんだとガックリすることが増えました。

 いろいろ悩んでいたんだけれど、ふと気づいてみれば、自分はものすごく自由だと気付いた桃子さん、あんなに愛していた周造さんだけど、彼に遠慮してできなかったことだっていろいろあったんだって、子供も可愛かったけど、彼らに煩わされることももうないんだって、気付いちゃったんです。

 こういう境地になれる人ってどれだけいるのでしょうね?束縛される何もないから自由なんだって、心から言えるって幸せだなぁ!

 子供の頃に母親に押し付けられたこと(向こうはそう思ってないけど)がイヤでイヤで、ずっと根に持っていたのに、いざ自分が大人になってみると同じようなことをしていたという部分に、妙な共感を覚えました。子供のころに「女の子は赤い服」といって、いつも赤い服ばかり着せられていたのがイヤだったなぁってずっと思っていて、その反動で赤い服は自分では買ったことがないのです。

 そういう人の勝手な部分も、後になってみれば何らかの根拠が見つかるようになってきて、ちょっと許せるなって思えたり、自分という人間はちっとも変っていないと思いつつも、実は変わってきているんだなと感じるあたり、桃子さんの気持ちが良く分かるなぁ。

 わたしはわたしの意志で生きていくって宣言が実にさわやかなのです!

1648冊目(今年186冊目)

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