『if サヨナラが言えない理由』 垣谷美雨
ルミ子さんは不思議な聴診器を拾ったんです。これを患者さんの身体に当てると、患者さんが考えていることが聴こえてくるんです。
それまで空気が読めなくて、患者さんにトンデモないことを発言して怒られてばっかりだったルミ子さんだったのですが、この聴診器のおかげで患者さんが言えずにいた悩みを聞いてあげられるようになったんです。
余命がいくばくも無い患者さんたちは皆、あの時にこうしていたらという思いを持っています。それが実現できていたら、違う人生があったんじゃないか?と思うのだけど、もう手遅れだよねって思うしかなかったのです。
一度しかない人生なんだから、後悔することはいろいろあるし、良かったと思っていても後々でどうなるかは分からないし、もしも?というのはあくまでも想像の範囲なんですよね。
運命の分岐点で違う方向へ舵を切ったとして、そちらが正解だという保証はありません。でも、その可能性を期待したくなる気持ちは分かります。
ルミ子先生のおかげで、その可能性を見ることができた患者さんたちはそれなりに納得できたんだから、幸せな最期だったのでしょうね。
1685冊目(今年223冊目)
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