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『団地と移民』 安田浩一

団地と移民
課題最先端「空間」の闘い

安田浩一

 高度経済成長期に団地は作られました。その当時に入居した人たちは若い人たちでしたが、そこから長い年月が過ぎ、子供たちは成長して独立し、残されたのは高齢者ばかりです。そして空室が増え、代わりに入居するようになったのは外国から来た人たちです。

 最初は少数派であった彼らが少しずつ人数を増やし、気が付いてみれば外国人が過半数を占めるという団地もあります。そういう場所で必ず発生するのが「ごみ問題」です。外国人がゴミを勝手に捨てるとか、敷地内を汚す、などという苦情が沢山上がってくるのです。

 でも、その原因をちゃんと調べてみれば、言葉が分からないから、ゴミの棄て方を知らないからということであって、ちゃんと説明をすれば、ちゃんと対応してくれる人もたくさんいるのです。要するにコミュニケーション不足が原因ということなのです。

 

 団地が荒れるとか、怖い人がいるとか、そういうウワサだって、詰まるところはお互いを知らないだけなのです。

 日本人は外国人に対していまだに鎖国しているなと思うことがたくさんあります。不法にゴミが捨てられていたら、暴力行為があったら、それはすべて「外国人のせい」で済まそうとしていることが本当に多いのです。いろんな悪いことを、実は日本人がやっているのかもしれないのに。

 外国からやってきた人たちを、自分より下のレベルの「ガイジン」扱いをしたがる日本人って、なんでこんなに多いのでしょう!?

 逆の立場に立ってみたら、いかに嫌なことか分かると思うんだけど、そういう想像力のない人が本当に多過ぎます!

 

 わたしは若い頃、アメリカの田舎で黒人は住んでいるけれど、黄色人種はいない町に行ったことがあります。その時の現地の人たちの目線を忘れることはできません。一緒に行ったメキシコ人やドイツ人は、しゃべらなければアメリカ人ではないということが分かりません。でもわたしだけは一目見てガイジンだと認識されてしまったのです。彼らは明らかにわたしのことを「始めて見たイエロー、これまで見たことのないガイジン」として見ていました。あの目は忘れられません。

 あれから何十年もたったのに、日本では同じようのことをする人がまだまだ沢山いるんだなぁと思うと悲しくなります。

 これから日本には、世界中からいろんな人がやって来ます。そういう人たちといかに手をつないで生きていけるのか?それを考えるヒントになる1冊でした。

1691冊目(今年229冊目)

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