『東京會舘とわたし 下 新館』 辻村深月
東京會舘にまつわるエピソードが、心を熱くしてくれます。そこにいない自分が、まるでそこにいるかのような気持ちになってしまうのです。結婚式で緊張する新郎新婦を支えてくれる方々。煉瓦の壁に将来の夢を見る少年。スターの知らざれる素顔。どれもがステキな夢のようなお話です。あの震災の日にも、お客様を優しく守り通した會舘の歴史はこれからもずっと続いていくのでしょう。
〇金環のお祝い
結婚して50年が金婚式です。夫は亡くなってしまったけれど、一人で東京會舘を訪れた芽衣子さんです。
〇星と虎の夕べ
越路吹雪さんのディナーショーが毎年東京會舘で開催されていました。
〇あの日の一夜に寄せて
東日本大震災のあの日も、東京會舘は粛々と営業を続けていました。
〇煉瓦の壁を背に
小説家になりたいという夢を持った少年が東京會舘のあの煉瓦の壁のある部屋を見せてもらったのです。
〇また会う春まで
改築のために4年間営業を休むことになった會舘の、最後の営業日に結婚式を挙げたカップルがいました。
〇おかえりなさい、東京會舘
2019年1月8日、東京會舘は再開しました。
「いずれ、直木賞の時に帰ってきます。」と言った小説家の言葉は、辻村さん自身の決意でもあったのでしょうね。あの壁を見るたびにこの小説を思い出すことでしょう。
1715冊目(今年20冊目)
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