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『どんなことからも立ち直れる人』 加藤諦三

どんなことからも立ち直れる人

加藤諦三

 この本の中で、この3つの言葉が頻繁に出てきます。

  • レジリエンス(resilience)自発的治癒力の意味であり、「精神的回復力」「抵抗力」「復元力」「耐久力」などとも訳される
  • リアクティブ(reactive)刺激があってからそれに反応するように行動すること、 後手に回った行動、主体的でないこと
  • プロアクティブ(proactive)先を見越した、事前に行動を起こした、先回りした

 俗に毒親と言われるような人に育てられて、精神を病んだり、消極的になってしまう人が多いのですが、同じような環境で育っても健全な精神でいられる人もいます。その差は何なのかと考える時に重要なのが「レジリエンス」なのです。悪い環境下でも、それに耐えていく力があれば、悲惨な状況から抜け出すことができるのです。

 レジリエンスを発揮できる人とは、自ら行動することができる「プロアクティブ」な人であり、周りに合わせることばかり考えている「リアクティブ」な人は、環境につぶされてしまうのです。

プロアクティブということは、不誠実な人に「ゆるせない」と怒るのではなく、不誠実な人には不誠実な人として対応することである。
不誠実な人にいちいち怒っているのは、リアクティブな態度である。(中略) 相手は直らないという前提で対処を考える。それがプロアクティブな態度である。(本文より)

 この言葉は、今のわたしに投げかけられた言葉だとしか考えられないのです。自分に悪い影響を与えてくる人のことを怒っていても、それは相手には少しも届かないのです。結局、怒っている自分がその怒りにつぶされてしまうのです。

 だから、わたしがするのは、「不誠実な人には不誠実な人として対応する」ことなのです。淡々と必要最低限のことだけをやっていけばいいのです。相手が変わることなど期待してもしょうがないのです。わたしが考え方を変えて、この人にはこの程度という対応すればよいだけなのです。

 それは、あきらめではあるけれど、挫折ではありません。その相手がわたしに与えるものに対価を返すというだけで良いのです。

 なんだか翻訳物のような文章に、ちょっと読みにくさを感じたのですが、読み終わってみれば言いたいことは良く分かったという感じです。

 空気なんか読んでリアクティブに生きていく時代は、もう終わったのだなという気持ちになりました。

 この本は 書評サイト 「本が好き!」 より献本して頂きました。どうもありがとうございました。

1706冊目(今年11冊目)

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