『読書をプロデュース 読み方を変えれば世界が変わる!』 角田陽一郎
若者の読書離れが進んで久しいと言われています。小規模の書店が数を減らしているのは確かだし、小説はおろかマンガすらも読まない人が増えています。そんな状態になってしまったのは何故だろうと考えた著者は大学生にインタビューしてみました。
本を読むのが「つらいから」「時間がもったいないから」「楽しくないから」「書き手が知らない人だから」「ネットの方が便利だから」、というような答えが返ってきたのです。これらを分析してみると、どうも感情的なものばかりなのです。やってみてダメだったのではなく、「食わず嫌い」が主な理由なんだということが分かってきました。これを打開するにはどうすればいいのかを角田さんは考えていきます。
読書ってハードルが高いと感じている人が多いのもかもしれません。文字を沢山読まなきゃいけないとか、どの本が面白いのか分からないとか、いろんな理由が考えられるのですが、そのハードルを下げるためにいろんな提案をしています。
そのうちの1つが「ジャケ読み」です。本のタイトルが面白いとか、表紙のデザインがカッコいいとか、そういうところから入ってもいいんじゃないの?というのです。これって昔レコードを買う時に使った「ジャケ買い」と同じですね(笑)。パッと見た印象が良いものは、中身もいい可能性が高いってホントなんですよ!
それと、学校で教わって来た読書のきまりを徹底的に破っていこうと言ってます。何冊かの本を同時に読む「バラエティ読み」もそうだし、一度読みだしたら最後まで読まなければならないなんてことは気にしなくていい、つまらなかったらどこで止めたっていいんだよ、とかね。
誰かが面白かったと薦めてくれた本が、自分にとって面白い本とは限らないよとか、こういうことを教えてくれる人が意外といないんですねぇ。だから、こういうアドバイスってとても貴重だなと思います。
やさしさも知性も人間力も、けっきょくそれは想像力から来るのではないでしょうか。想像力がなければ、立場があっても、お金を持っていても、偏差値が高くても、何も意味がないように感じます。(本文より)
本を読むことで昔の人になったり、外国の人になったり、時には宇宙人になったり、猫になったり、いろんな経験を試せるというところも読書の醍醐味です。そして、その経験が他者に対する優しさにも繋がるんじゃないかしら?もし、自分がその立場だったらツライなぁ、悲しいなぁ、嬉しいなぁ、なんて想像できることそれこそが大事なんだと思います。
この本の中で紹介されている本の中で一冊でも気になる本があったら、是非読んでみてください。それが自分の人生を変える一冊になるかもしれないのですから。
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