『忘れられたワルツ』 絲山秋子
「恋愛雑用論」「強震モニタ走馬燈」「葬式とオーロラ」「ニイタカヤマノボレ」「NR」「忘れられたワルツ」「神と益田喜十郎」の7編が収められています。
「ふつう」であることを求められるけど、「ふつう」でいられないわたしはどうすればいいの?大事なことは気にしないくせに、どうでもいいことばかり気にするわたしに「ふつう」を求めないで!
この短編集を読んでいて、そんなことを感じたのです。他人から見たらどうでもいいことを生きがいにして生きてちゃダメなのかしら?誰かに合わせることが辛いから一人で生きているのに、それじゃダメだって言われてもどうにもできない。そういう人が世の中には大勢いるんです。
親切の押し売りから逃れるのは、けっこう大変なことなんです。放っといてくれって言うと、それじゃ困ると言われ。放っておかないでと言えば、あんたの世話をするのは大変だと言われ。どうしていいのか分からなくなるんです。
絲山さんの作品に登場する人たちは、ほとんどがそういう人。世間の隅っこで静かに暮らしたい人ばかりなんです。そういう生き方だってアリなのにね。「努力すれば必ず報われる」とか「みんな仲良く」を盲目的に信じている世間が、妙にうっとおしいことだってあるんですよ。
1728冊目(今年33冊目)
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