『ファンベース』 佐藤尚之
ファンというと、アイドルとかブランドとか特殊なものと考えがちですけど、もっと地味なレベルでのファン心理というのがあるのです。例えばマヨネーズならキューピーでしょとか、醤油ならキッコーマンでしょというような部分って意外と揺るがないんです。特別なことがなければ、ずっと購入し続けるわけです。
何かのきっかけで、こっちの方がステキというものに出会って新たなファンになることがあります。そんな人たちの心を掴み続けるにはどうすればいいのか?逆に、ずっとファンでいてくれる人に、これからもファンであり続けてもらうためにはどうすればいいのか?そのあたりがこの本の言いたいところなんです。
ファンはSNSだけでなく、リアルでも自分が大好きなものを類友に言いたがる(本文より)
自分が好きなものをSNSに投稿する人が沢山います。でも、そういう人ってSNSだけをやっているわけではありません。友達や会社の同僚などに話したら引かれちゃうかもと思うことはあっても、類友にだったらジャンジャン話します。そして、それがいかにステキかを熱く語るのです。
都会にいると、みんなスマホを持っていて、みんなSNSをやっているような気がしてしまいます。でも、それは幻なんです。SNSという言葉は知っていても、自分には関係ないと思っている人が沢山いるんです。そういう人だって何かのファンである場合があります。SNSなんか使わなくったって、口コミで情報を発信したり受信したりしているんです。
ネットにつながっていない分、こういう人たちの方が気持ちに揺るぎがないから、ずっとファンでいてくれる可能性が高いんです。そこいらへんを分かっていないと、特に高齢者のファンの気持ちを分かることができないんじゃないかしら。
家族・友達・コミュニティと良くつながっている人ほど幸せで、身体的に健康で、つながりの少ない人より長生きする
定年退職後一番幸福な人は、仕事仲間に代わる新しい仲間を自ら進んで作った人たち
何かのファンである人は、その何かを通じて友達がいたり、コミュニティに参加していたりすることが多いので、幸せにもなれるし、健康にもなれる、長生きもできるのです。
イオン葛西店の高齢者に優しい店づくりの例では、ファン作りの意外なアイデアにビックリしました。
「ファン」をいかに作り出すか、「ファン」をいかに育てるか、それがこれからの日本で生きる道なのでしょうね。
1719冊目(今年24冊目)
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