『日本人のための漢字入門』 阿辻哲次
皆さんご存知の通り、漢字は中国で生まれました。その漢字が韓国や日本にも伝わってきました。元々たくさんの漢字があったとはいえ、自分の国の事情に合わせて漢字を増やしたいという欲求が出てきました。そして日本で生まれた「国字」が増えていったのです。
魚篇の漢字で例えてみましょう。中国で文明が栄えていた長江や黄河の周辺では「鯉」や「鮒」という漢字が作られました。しかし日本は海に囲まれた国ですから、それまでになかった海の魚のことも漢字で表記したいと考えて生まれたのが国字です。「鰯」「鯛」「鮪」など、どんどん日本生まれの漢字が増えていったのです。
難しい漢字を使うのは大変です。そこで中国では漢字の構造を簡単にした「簡体字」を使用するようになりました。字形を省略した形にするものもありますが、発音が同じで画数が多いものを画数が少ない文字に変更するということもあるのだそうです。
例えば「機」と「机」は意味は全く違いますが発音は同じです。そうすると「飛行機→飛行机」や、携帯電話「手機→手机」という表記になります。発音重視なので中国人にとっては問題ないのだそうですが、外国人である我々にとっては難しいですねぇ。
こういうシステムになったことによって誤解も生じるようです。たとえば「大穀→大谷」と簡略化されることによって、「谷」の旧字が「穀」だと勘違いしてしまい、地名の「大谷」を「大穀」と表記してしまうというような間違いが発生することもあるのだそうです。
漢字って、知れば知るほど面白いし、難しいなぁと思います。
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