『なくしたものたちの国』 角田光代 松尾たいこ
落としてしまったもの、なくしてしまったもの、置き忘れてしまったもの、いなくなってしまったもの。(本文より)
かつて持っていたのに、なくなってしまったもの。その行方を必死に探したものもあれば、なくなったこと自体に気付いていないものもあります。電車で忘れ物をして探してもらったこともあります。わたしの場合は傘だったけど、この本の中では子供を置いてきちゃった人もいました。
ものをなくしてしまうこともあるように、記憶をなくしてしまうこともあります。ずっと忘れてしまっていたのに、急に思い出すこともあります。忘れてしまっていたと思っていた間、その記憶はどこに存在していたのでしょう?たぶん、わたしの中のどこかにいたはずなんだけどなぁ。
ものをなくすということは、一瞬その存在を忘れてしまうということです。さっきまで手の中にあったのに、ちょっと椅子の上に置いてしまったとか、ポケットに入れたつもりなのに入れてなかったとか。さっきまで大事だと思っていたのに、意識が離れてしまって、なくなってしまう。
いやいや、実は逆なのかもしれない。たいしたものじゃないから、意識が離れてしまうのかもしれない。もしかして、これは持っていちゃいけないよという神様からのお告げなのかもしれない。そんな想像を巡らせてしまいました。
1740冊目(今年45冊目)
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