『なくしたものたちの国』 角田光代 松尾たいこ
落としてしまったもの、なくしてしまったもの、置き忘れてしまったもの、いなくなってしまったもの。(本文より)
かつて持っていたのに、なくなってしまったもの。その行方を必死に探したものもあれば、なくなったこと自体に気付いていないものもあります。電車で忘れ物をして探してもらったこともあります。わたしの場合は傘だったけど、この本の中では子供を置いてきちゃった人もいました。
ものをなくしてしまうこともあるように、記憶をなくしてしまうこともあります。ずっと忘れてしまっていたのに、急に思い出すこともあります。忘れてしまっていたと思っていた間、その記憶はどこに存在していたのでしょう?たぶん、わたしの中のどこかにいたはずなんだけどなぁ。
ものをなくすということは、一瞬その存在を忘れてしまうということです。さっきまで手の中にあったのに、ちょっと椅子の上に置いてしまったとか、ポケットに入れたつもりなのに入れてなかったとか。さっきまで大事だと思っていたのに、意識が離れてしまって、なくなってしまう。
いやいや、実は逆なのかもしれない。たいしたものじゃないから、意識が離れてしまうのかもしれない。もしかして、これは持っていちゃいけないよという神様からのお告げなのかもしれない。そんな想像を巡らせてしまいました。
1740冊目(今年45冊目)
« 『「歌だけが残る」と、あなたは言った』 深田太郎 | トップページ | 『心のイタリアごはん 3』 野崎ふみこ »
「日本の作家 か行」カテゴリの記事
- 『講談えほん 曲垣平九郎 出世の石段』 神田伯山 石崎洋司 五十嵐大介 81(2023.03.23)
- 『愛媛県新居浜市上原一丁目三番地』 鴻上尚史 85(2023.03.27)
- 『続 ヒーローズ(株)!!! 』 北川恵海 53(2023.02.23)
- 『もうあかんわ日記』 岸田奈美 39(2023.02.09)
- 『ヒーローズ(株)!!!』 北川恵海 31(2023.02.01)
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ 扉子と虚ろな夢』 三上延 76(2023.03.18)
- 『よはく手帳術』 miyu 60(2023.03.02)
- 『おにぎり猫のものがたり 第一巻』 ミケパンチ 56(2023.02.26)
- 『ジュリーの世界』 増山実 48(2023.02.18)
コメント