『某』 川上弘美
彼女は自分が誰であるのかを分かっていなかった。病院の先生たちはハルカという名前を付けてくれた。そして高校へ通うことになった。自分がどこから来たのか?どんな育ち方をしてきたのか?まるで分らない。いろんなことも先生たちが設定してくれて、その通りに覚えて答えていた。
最初、記憶喪失の話かと思っていたら、違っていました。彼女は「誰でもない人」だったのです。
自分でも分からないタイミングで違う人になってしまう。性別も性格も年齢もドンドン変わっていく。変わってしまったら、その人として生きていく。また別の人になってしまったら、その人として生きていく。
不思議な運命を生きているんだけど、それを辛いと思うでもなく、嫌だなと思うでもなく、淡々と毎日を生きていく「某」。
こういう人がもしかしたら、近くに住んでいるのかもしれないけど、きっと分からないのでしょうね。
某はこれが普通と言っているけれど、自分がそうだったとしたら、どこかの段階で辛くなってくるんじゃないかな?って思うけど、それはわたしが人間だからかな?
それにしても、こういう設定を思いつくところが、いかにも川上弘美だなって思う。
1722冊目(今年27冊目)
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