『最後の講義 完全版 大林宣彦』
この本の中で大林監督は、フィロソフィーという言葉を何度も使っています。その人にとってのフィロソフィー(哲学)が作品や仕事に反映されていくのです。ですから監督の場合は、映画を通してフィロソフィーを多くの人に伝えようとしているのです。
この地球にとって、自然界にとって、本来、がん細胞であるぼくたちが欲望のままに生きてきたからです。
そうであるなら、がん細胞と同じようにいつか地球を亡ぼして自分も死ななければなりません。
近い将来、人間はそういう目に遭うぞと、ぼくの宿子であるがんが教えてくれています。
人間はもう少し利口になる必要があります。
冷暖房を我慢するとか、車に乗るのを我慢するとか・・・。(本文より)
大林監督は映画を通して「戦争を繰り返してはいけない」と訴えています。自分は戦争を知っている人間だから、それは使命だと考えていらっしゃいます。
そして、ある中学生から「わたしたちは戦前の人間なのです」と言われて衝撃を受けたそうです。「あと何年かして戦争が起きてしまったら、自分たちはその戦前の人間ということになります。だからこそ自分たちが平和を守らなければならないのです。」
そういう若者たちが戦争に巻き込まれないためにも、自分たち年長者が平和について伝え続けなければならないとおっしゃっています。
憲法9条も、世界から見れば”非常識な憲法”です。
だけれども、世界の常識が戦争することだとするなら、憲法9条は素晴らしい非常識です。
日本のどこかで、憲法9条を変えようとしている力が増大しているのです。そんなことを許してはいけません。戦争を放棄することの素晴らしさを、日本国中の人に理解して欲しいのです。そして、世界中の人に伝えなければならないのです。
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