『ポラリスが降り注ぐ夜』 李琴峰
ただどうか忘れないでおいてください - あらゆる歴史は現代史であり、あらゆる理解は誤解であるということを。(あとがき より)
著者の李さんは新宿二丁目という町に集まってくる人たちの生きざま、それまでの道のり、自分が自分であることを理解されない苦しみなどを描いています。ゲイタウンとして有名な二丁目ですが、メインはやはり男たち。レズビアンが集う店は今でこそ増えたけれど、やっぱりマイノリティ。マイノリティの中の更にマイノリティという立場が切ないです。
中国や台湾では性的マイノリティとして生きていくのが苦しいから日本にやって来た人たち。台湾で同性婚が認められるようになるきっかけとなった集会のこと。この短編集は様々な知らなかったことを教えてくれました。
女性なのに女性しか愛せないということに子供の頃に気付いた人、それに中年になって初めて気が付いた人、性別に関わらず愛せる人、誰のことも愛せない人、様々な人がいるのです。でも、どれが正しいとか間違っているとかということではないのです。
誰にも自由に生きる権利があるのに、それが許されないのは、つまらない誤解に縛られて生きている人が世の中を動かしているからなのでしょうね。
- 日暮れ
- 太陽花(ひまわり)たちの旅
- 蝶々や鳥になれるわけでも
- 夏の白鳥
- 深い縦穴
- 五つの災い
- 夜明け
この七編が収められています。
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