『文芸オタクの私が教えるバズる文章教室』 三宅香帆
文章っていろんな要素でできている。どんな単語を使うのか?どんなリズムで書くのか?どんなストーリーなのか?オチがあるのか?それとも余韻を残せばいいのか?
何で惹きつけるのか?に関する様々なアイデアが集められているこの本の中で、わたしが一番気になったのは「あるあるから話しはじめる。 高田明の視点力」でした。
高田さんとは、ジャパネットたかたのあの方、絶妙な話術で思わず買い物をしたくなる気持ちにさせてしまうあの方です。もちろんお話の仕方も上手いのですが、実はあのセリフは全部自分で考えてらっしゃるのだそうです。
毎日違う商品を扱っているのに、どれに関しても疑問を持たせることなく「いいねぇ」「欲しいねぇ」と思わせる文章を作ってらっしゃったのです。この本の中で挙げられていたのは「ウォーキングシューズ」のセールストークです。
「普段の生活でこんなことはありませんか。立った姿勢で靴下をはくのがきつくなった。買い物カゴを持つのが辛くなった。布団の上げ下ろしがしんどい。だったら足腰を鍛えましょうよ。町中を見てください。ウォーキングしている人が多いでしょう」(本文より)
これは見事ですね!「あるある」「そうそう」とTVを見ている人が素直に頷けます。「そうだよね、わたしも思い当たる節がある。運動不足だなぁ。ウォーキングでもしようかしら。」って自然に思っちゃう!こんなにもスムーズに共感を得てしまう文章を考えられる高田さんは、凄いなぁって思います。
まずは相手に興味を持ってもらうこと。それなしには次へ進めませんからね。
このほかにも様々な文章のテクニックが集められたこの本には、49人の達人の技が集められています。いろんなパターンを学べるので、いっぺんに読むよりも、1日1つずつ読んでいく方がいいかも。
1723冊目(今年28冊目)
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