『音楽好きな脳』 ダニエル・J・レヴィティン
この本の著者であるレヴィティン氏は最初は演奏する側としてのミュージシャンを目指し、偶然からレコード・プロデューサーとなり、音楽と関わることによって心理学に興味を持つようになり、心理学・行動神経科学教授。認知心理学者・神経科学者となった方です。
80歳を超していたジョン・R・ピアース(ベル電話研究所 研究担当副社長)にロックンロールについて知るのに大切なことをすべて含んだ6曲を選んで聞かせてくれと言われた。そこで選んだのがこの6曲だ。
- ロング・トール・サリー/リトル・リチャード
- ロール・オーバー・ベートーベン/ビートルズ
- 見張り塔からずっと/ジミ・ヘンドリックス
- ワンダフル・トゥナイト/エリック・クラプトン
- リトル・レッド・コルベット/プリンス
- アナーキー・イン・ザ・UK/セックスピストルズ
クラシック音楽は好きだけれど、ロックは全く分からないというピアース氏にこれらの曲を聞かせたのも凄いけど、ロックの音質に興味を持ったというピアース氏も凄いなぁと思うのです。
イエスタデイでは、メインメロディーのフレーズが7小節でできている。ビートルズは4小節か8小節をフレーズ単位とするポピュラー音楽の最も基本的な前提のひとつを無視することによって、私たちを驚かせているわけだ。
4小節あるいは8小節で1フレーズを構成していたり、リズムを一定に保ったり、音楽には様々なルールがあります。でも、それを壊すことによって印象的な音楽になるのです。急に音がなくなったり、大きな音を出したり、テンポを変えたり、変調したり。
あっ、ポール・マッカートニーはそういうことの天才だったんだ!
大脳皮質左側の一部を痛めた作曲家のラベルは、音質の感覚を残しながらピッチの感覚だけを失ったために、音質の多様さを強調する「ボレロ」の作曲を思い立った。
ピッチ(音程)を失っても、音質が残ったから「ボレロ」が生まれたというのは、驚くべき発見です。そうか、だからあの曲は1つのテーマの繰り返しであんなにもダイナミックな音楽になったのか!子供の頃に初めてこの曲を聞いた時に、なんて不思議なんだろうって思ったことの回答がここにありました。
迷信のドラムスはスティービー・ワンダー自身が叩いているのですが、同じフレーズで叩いているところがないのだそうです。そのわずかな違いがこの曲のグルーブ感を支えているというのにはビックリ!ちゃんと聞き直さなくっちゃ!天才とは、そういうことを自然にできる人なのだなぁと納得。
音楽は心の栄養であり、心を生き生きとさせてくれるものだとわたしは考えています。音楽があるからわたしは生きていると言っても過言ではありません。美しい旋律、激しいリズム、魅惑的な音色、これまでにたくさんの音楽があるというのに、更に新しい音楽が生まれ続けているのは、わたしたちが常に何かを求め続けているからなのかもしれません。
No Music, No Life ♬
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