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『モモ』 ミヒャエル・エンデ

Momo

モモ
Momo

ミヒャエル・エンデ
Michael Ende

岩波少年文庫 127

ドイツ

人間はじぶんの時間をどうするかは、じぶんで決めなくてはならないんだよ。だから時間をぬすまれないように守ることだって、じぶんでやらなくてはいけない。(本文より)

 みんなモモが大好きでした。どんな話をしても黙って聞いてくれるし、モモと一緒にいるだけで楽しくなるんですから。毎日モモの周りでは明るい笑い声が響いていました。

 なのに灰色の男たちが現れてから、周りの様子がおかしくなってきたのです。無駄な時間をなくして、それを貯蓄しませんかという灰色の男たちが現れてから、みんな時間に追われるようになって、友達や家族と楽しく暮らす時間をなくしていくのです。以前よりお金は稼げるようになって、立派な家に住めるようになったけど、その生活を守ることしか考えることができなくなってしまったのです。

 ついこの間までモモと仲良く遊んでいた子供たちも、みんな灰色の男たちに管理されてしまって、自分たちで楽しいことを考えることすらできなくなっていて、モモは路頭に迷ってしまいます。なんとかして、以前の様にみんなと楽しく暮らしたいのに、どうしていいのか分からない!

 この物語の最初の方はヨーロッパのどこかのちょっと昔のお話という雰囲気だったんだけど、読み進めていくうちに背筋がゾクゾクってしてきました。

 灰色の男たちによって奴隷のように操られてしまっている人々、それは物語の中の人たちじゃなくて、わたしが生きているこの世界の人たちのことのようです。

 この物語はハッピーエンドでしたが、実際の世の中は灰色の男たちばかり。いつになったら終わるのかもわからない閉塞感。どうして今、この本を読んだのでしょうか?不思議な気持ちになっています。

1755冊目(今年60冊目)

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