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『もっと言ってはいけない』 橘玲

Mottoitteha

もっと言ってはいけない

橘玲(たちばな あきら)

新潮新書 799

日本人の3分の1は日本語が読めない。(本文より)

 そんなはずないでしょ!と思われがちだけど、よく考えてみると日本語が読めない日本人は結構います。さほど難しくない説明書を読んでも理解できない人がかなりいます。そもそも読まない人が大勢いるのは、実は読めないからなんじゃないかと思います。言葉で説明すればちゃんと理解できる人がほとんどだけど、それでも分からない人がある程度はいますから。

 でも日本語が読めなくても、やっていける仕事がたくさんあったから、これまでみんな何とか働けてきたのです。

 昔パソコンのインストラクターをしているとき、「要点をメモしたいんだけど、自分は文章にできないから、大事なことはノートに書いて欲しい」と言われたことがあります。日本語を聞く能力のこともあるけれど、文章化する能力が不足しているということがあったのかもしれません。その方は、わたしが書いたメモを読んで、ちゃんと作業できていましたから、読めるけど書けない人だったのかもしれません。

言語的知能が低いと(いわゆる口べただと)世界を脅威として感じるようになる。なんらかのトラブルに巻き込まれた時に、自分の行動を相手にうまく説明できないからだ。

 こういう人はとても多いはずです。自分がどう思っているか、どう感じているか、どんな目に遭っているのか、言葉で説明できないというのは、恐怖感が増える一方なのです。だからむやみに誰かを非難するとか、自分はダメだと思い込んだりしやすくなってしまうのです。だから、こういう傾向がある人には、ゆっくりと聞くこと、文章化してもらうことなどが必要なのでしょうね。一番いけないのは急がせることですから。

高度化した知識社会では、高いIQは社会的・経済的な成功をもたらす。だがもうひとつわかっているのは、知能とアスペルガーのリスクとのあいだに強い相関があることだ。IQ130を超えて10上がると、自閉症スペクトラム上に乗るリスクは倍になる。

 非常に優秀な頭脳を持っているのに、人付き合いができないとか、自分の得意分野以外は何もできない人って確かにいます。得意分野だけで生きていける人はいいですけど、かなりの人はそれ以外の部分で社会と折り合いが付かなくて苦しんでいる場合が多いのでしょうね。

 イーロン・マスク氏の例は衝撃的でした。百科事典の内容をすべて覚えてしまうほどの頭脳を持ちながら、いじめの対象になってしまって学校へ通えなくなってしまったことがあるというのは、その特異性ゆえなのでしょうか?ずば抜けている頭脳と、それを怖いと感じる頭脳の軋轢が「いじめ」の原因となってしまうのだとしたら、それは余りに悲しいことです。 

 そして、著者がゲイの遺伝的傾向について書かれている部分にとても興味を持ちました。ゲイの人の遺伝的傾向を調べてみると、母方からの影響が強いというのです。母方親族にゲイの人がいる確率が高いのだけど、そういう家系は多産系(子供が多い)でもあるというのです。ですからゲイの家族がいても、この一族の人口は減らないというのです。自然のバランスというのは上手くできていて、決して非生産的にはならないのです。どこかの代議士に、この点について誰か教えてあげてください。

1774冊目(今年79冊目)

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