『魔女たちは眠りを守る』 村山早紀
港のある小さな町、三日月町の三日月通りに「魔女の家」というカフェがあります。でも、誰でも行ける店ではないんです。その店が入っている建物の上の階は魔女たちの住処「バーバヤーガ」になっていて、魔女たちが住んでいるのです。
七瀬は若い魔女、とはいえ人間の10倍も生き続ける魔女だから、人間の暦で換算すればかなり長いこと生きてきました。世界中を旅してきたけど、思い出のあるこの町でしばらく過ごしてみようという気になったのです。
魔女と言っても、決して悪いことをするわけではありません。どちらかと言えば人を助けることの方が好きなのだけど、必要以上に人間に関わらないように生きているから、どんなことをしてきたかはみんな知りません。
決して永遠の命ってわけではないけれど、長く生きていくというのはそれなりに辛いこともあるんだろうなぁって思います。バンパイヤたちと同じように、いつまでも歳を取らない自分のことを人間に悟られないように、ある時期が来たら立ち去るという日々を自分が過ごすことになったら、ちょっと寂しいかなとも思えるのです。
短い期間しか人間たちとは触れ合えないけれど、その刹那に愛や友情を育める七瀬さんは幸せなのかな?
「月の裏側」の中で、月のうさぎもかぐや姫も月の裏側に隠れて住んでるんでしょという会話があって、なんだか、こういう想像力っていいなぁって思えたのです。
「サンライズ・サンセット」ではお盆にいろんな人が家に帰ってきて七瀬さんと話をしていくのです。こうやって集うことができたら、亡くなった人たちも「また戻ってこよう!」って思えるなぁ。そういう人たちと話ができる魔女が羨ましいなぁ。
この、7つの物語が収められています。
- 遠い約束
- 天使の微笑み
- 雨のおとぎ話
- 月の裏側
- サンライズ・サンセット
- ある人形の物語
- 貝の十字架
#魔女たちは眠りを守る #NetGalleyJP
1781冊目(今年86冊目)
« 『生きてく工夫』 南伸坊 | トップページ | 『兄の名は、ジェシカ』 ジョン・ボイン »
「日本の作家 ま行」カテゴリの記事
- 『これからの時代を生き抜くためのジェンダー & セクシュアリティ論入門』 三橋順子 334(2023.12.01)
- 『美徳のよろめき』 三島由紀夫 339(2023.12.06)
- 『君と過ごした、さよならの季節』 水瀬さら 323(2023.11.20)
- 『地方消滅』 増田寛也 297(2023.10.25)
- 『昭和史の10大事件』 宮部みゆき、半藤一利 295(2023.10.23)
「NetGalleyJP」カテゴリの記事
- 『自分をよろこばせる習慣』 田中克成 338(2023.12.05)
- 『これからの時代を生き抜くためのジェンダー & セクシュアリティ論入門』 三橋順子 334(2023.12.01)
- 『訂正する力』 東浩紀 326(2023.11.23)
- 『京都を歩けば「仁丹」にあたる』 樺山聡 京都仁丹樂會 327(2023.11.24)
コメント