『逆ソクラテス』 伊坂幸太郎
別に自分は法律に違反しているわけじゃないし、と開き直ることはできる。ただ、悪いことをしちゃったな、と思う人のほうが明らかに、立派だよ。そして、その立派さが評判を作る。評判が君たちを助けてくれる(非オプティマス)
あの人はこんな人なんだろうって勝手に思い込んでいることが良くあります。あんな怖い顔をしてるんだから怖い人なんだろうとか、勉強ができるから頭のいい人なんだろうとか、根拠のない思い込みがたくさんあります。
転校してきた子が、とても大人しい子だったから、前の学校でいじめられていたんじゃないだろうか?と同級生は想像してたけど、実はそうじゃなかったなんて、こういう発想は大事だなって思います。
「ドン・コルレオーネ、どうして運動ができる人間とそうでない人間がいるんでしょうか」
「どちらかが偉いわけではない」
「でも、足が遅いと馬鹿にされます」
「馬鹿にするやつがいるのか」
「特に女子が馬鹿にしてきます」
「そんな女性がいるのか」「はい」
「では、消せ」(スロウではない)
日常にこんな会話があったら楽しいだろうなぁ!嫌なことはなんでもドン・コルレオーネにお願いしちゃえば「では、消せ」って言ってくれるんだもの。嫌なことがあったら、脳内でこの会話をすればいいのかな(笑)
伊坂さんが作家になって20年なのだそうです。わたしが最初に読んだ伊坂作品は「チルドレン」2004年のことでした。それ以降、すべての作品を読んできました。
伊坂作品には犯罪者が大勢登場します。良い人も大勢登場します。みんな違う人たちなんだけど、一貫しているのは「運命は避けられないけど、それに真正面から立ち向かえばいいってものじゃないと思ってる」というところです。
この本に登場する小学生たちが言っている「正直に生きること」は、ゴールデンスランバーで語られていた「人間の最大の武器は、習慣と信頼だ」につながるような気がします。
小学生にだって悩みがあって、それを打ち明けられる相手が見つからないというのは、時代を超えて、世代を超えて、永遠のテーマであるような気がします。ここに登場する小学生たちは幸いなことに良い友人に出逢えたけど、実際には1人で耐えている人もいるんだろうな。
ソーシャルディスタンス(社会的距離)が求められる今、人と人とのつながりも違った形になっていくのかしら?
1790冊目(今年95冊目)
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